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2010.3.29 日常日記部

首都高トンネル工事を見学-水で土を地上に送る!?

ついに開通で話題の首都高山手トンネル。
実は2年前に、サイト「首都高スマート新聞」の連載記事の取材で、
みっちりがっつりと工事現場を見学させてもらった。
貴重かつ知的好奇心を満たしまくりの楽しい4時間。
もう、絶対にこの状況の部分、
コンクリートがなく地中が見えることはありえないわけだから超貴重な体験、
というわけで報道されていること以外のこともわかる2008/4の記事から。
字数は5倍ぐらいほしかったほど濃くオモシロイ取材だった。

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 この連載スタートにあたって最初の打合せで首都高のオフィスに伺った時のこと。ミーティングが始まる前に担当の方と雑談している段階で、僕が異常な食い付きを見せたのは、2007年12月の開通を間近に控えた「山手トンネル」の話題でした。なぜなら僕自身の幼少期の原体験があったから、と言ってももちろん穴を掘っていたわけではなくて、生れて初めてもらったクリスマスプレゼントが、テレビ番組「サンダーバード」のモグラタンクだったからというトホホな理由ですが。
 モグラタンクという、なんともメカニカルかつ機能的で冒険の雰囲気漂うマシンは、たいがいの少年をワクワクさせるものではないか、と思うのです。さあそして、サンダーバードのは先が尖ったドリルのような形状だったし、トンネルもそういうマシンで掘り進むと思って話していたら……。「先が円盤状になっていて岩盤を削っていくんです」だと。は? え、え、円盤すか? なんで平べったいもので掘れるわけ? 「前面にギザギザの歯みたいな突起物がたくさんあって、円盤が回転してがりがりと削り落としていくんです」 ほっほ〜!! 「先が尖っていたら、岩盤が堅いので全然無理だと思います」 目からウロコ。長年抱いていたモグラタンクヒーロー像ががらがらと崩れていきました。さらに興味津々と僕の食い付きは加速し質問攻め。ゼヒもんでトンネル工事の現場を見学させてほしいと頼み込んで、潜ってきました地下深く!

 現在、池袋〜新宿間が開通していて、今工事が進んでいるのが、新宿〜渋谷間。渋谷の近く、池尻に建設中の巨大な「大橋ジャンクション」(地上で3号渋谷線と合流させる)から入り400m余りの区間を、マシンやら工法やら概念やらいろいろな説明を受けながら通るという、トンネルファンが聞いたら卒倒しそうなオイシイ体験をしてきましたよ。

 まずは問題のモグラタンクもどき、正式には「シールドマシン」と言うそう。お茶筒を横にしたような形で、重さ3000t、直径13m(4階建てのビルぐらい)という巨大な鉄の塊。コイツが1分間に2mづつ掘っていくのです。運転というか操作は、地上にある集中管制室ですべてコンピュータ制御。少人数で夜中でもさくさくと工事が進んでんの。今このコラム1600文字を読んでいる間にも、数センチ穴が進んでいるんです! しかしこのマシンの凄みをわかってもらうのはここから。このお茶筒、掘るだけでなく、掘り終った穴の周りの土部分に、金属でできた壁(ばらばらなパーツになっている)をぺたぺたって感じで貼って(取りつけて)いくというロボットのようなハイテク機能。さらに、掘って出た土は、自動的に外に送り出してくるという、まるで十徳ナイフのような超ユーティリティプレーヤーなのよ。おそるべしシールドマシン。
 ちょうどこのマシンが池尻まで掘り終わり、新宿方向に向きを変えてUターン(往復の復路にあたるわけ)する時で、作業休止中だったので、円盤の先端やら全体像をじっくりと見ることができたのです。これは本当にラッキーなタイミングで、レアレアな体験でしたよ。そして、未完成のトンネルの中を400m歩いてみて、頭脳、時間、お金、人手などなど、すさまじく大きな規模の土木事業だということを痛感。漠然と想像はしてたけど、できあがってない状態だとひしひしと伝わってくる。

 そうそう、現場を案内してくれた馬場さんという工事担当の方が、かなり親切で熱心で気さくで面白い方で、わかりやすい解説が次々と降り注ぎ、僕の知的好奇心もどんどん掘り進められましたね。ちなみに、一番ツボにハマった話は、掘り終った土の運び方。芥川龍之介のトロッコみたいので運ぶのかと思ったらさにあらず。一度水で溶かして泥にして、ポンプで送り出すんだって! 地上に上げたら、泥水を何層かの網目に通して、石、砂利、土などに分別して運び出すというシステマティックさ。うーむ。しびれる。別れ際に馬場さんが言った土木工事でよく使われるということばにと、モグラタンクを見た時と同じように、石黒少年(47歳)は再度しびれてしまいました。
「水を制するものは土木を制す!」
おお、かっこいい。

「首都高スマート新聞」の連載記事はこれです。

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