logo
2010.2.23 アート部

立石大河亞 来る!

昨日事務所を出ようとしたらアマゾンから本が届いていた。
来た。来た。ついに来た。
里中待ち焦がれていた(渡辺まいっちんぐ、でも可)
これである。
タイガー立石 『TRA』
TRA(トラ)
装丁・構成は、祖父江慎さん。

★絵画系は<立石大河亞>、絵本、マンガは<タイガー立石>名で活動。

立石大河亞は、
僕の中では、歌川国芳と並んで
全世界の長い歴史上での1&2番の天才芸術家である。
ダ・ヴィンチ、ダリ、エッシャーがそのあとかな。
国芳はまだ知られていると思うが、
この人の名前を言ってもデザイン・アート周り以外では
知っている人にはなかなか当たらない。
今読んでてじゅうぶんご存知の方には釈迦に説法すみませんです。

<参考サイト>
これとかこれとか
<mixiコミュ タイガー立石>

初めて作品を見たのは、10年と少し前、大崎のO美術館で
とても気になる人だからと見に行って、衝撃を受けた。
脳ミソが暴れ出したような知的高揚感だった。
天才とはこういう人のことをいうのだと
絵が立体がマンガがぐさぐさと僕の突き刺さってきた。

発想が、ロジカルなのだ。
ダリ、エッシャー、アルチンボルド、あるいはさまざまなだまし絵など、
リクツを絵に落とし込み、なおかつ絵画として精緻な完成度、
あたりがもともと僕のツボである。
しかし、この人のスケール感はそれらの作品をも凌駕していた。
国芳を知った時も同じ感覚を味わったのを思い出した。
(アートの観点からの話なので、ここでは宮武外骨は外して追ってまた)

思いつきを、形(構図というより構造と言いたい)に落とし込むまでの
脳内変換の過程(陶芸で土を練り込みような作業だと思っている)を
想像すると、本当に鳥肌が立った。
画風は塗り込み系。
僕が『モノマガジン』で
「ダジャレ商品プロジェクトX+Y2」の連載を一緒にやっていた
川崎タカオさん的タッチである。
どんな絵かは、僕が書くとかえって陳腐になるのと、止らなくなるので、
評論家や学芸員にお任せってことで検索してみてください。
僕が一番すごいと思ったのは、「ミクロ富士」。
かんたんに言うと、江戸時代の人々が思い描いていた、
「googleアース」と「盆景」の関係といったところか。

そして、絵と並んで衝撃が強かったのは立体だった。
中でも、ゴッホ、ピカソ、キリコ、
岡本太郎、岸田劉生などの画家と作品をモチーフにした
要素をごちゃっと絡み合わせた塑像に見とれた。

マンガもすごい。
既成概念を引っ張って語られるとナンセンスギャグと言われそうだが、
「まず、人の考えていないことを考える」
ための「実験」だと思って見ると創造のダイナミズムが窺えるはず。
発想が余人に代えがたきもので、
パンフレットに載ってなかったものは、
美術館の人にかなり無理なお願いをして
その場でコピーをいただいてきた。

絵本の世界でも、
「ままです すきです すてきです」
ままです すきです すてきです (幼児絵本シリーズ)

「とらのゆめ」
とらのゆめ (こどものとも傑作集)

などなどシュール風味のおもしろい作品を残し、
今でも高く評価されている。

イラストレーターの宇田川新聞さんも相当なファン、マニアで
かなり盛り上がった。
↓ちなみに、新聞さんの版画の本もいいですよ。
木版画手習帖―手軽に楽しむ、小さな道楽。かわいい木版画のつくり方

僕は、芸術家に限らず、多様性のある人が好きだ。
あんなこともこんなこともやっている。
じっくり噛みしめていると、
そのタテ軸=アウトプットはさまざまなのに、
各々の芯の芯にはその人らしいヨコ軸=感性が見えてくる。
そこに吸い寄せられていく。
話はワープするが、キャンディーズにのめり込んだのも、
カワイイ歌と、かっこいい洋楽のステージと
ガチのコントと、親近感あるラジオ番組を
同時にさらりとこなしていたからだ。
芸能界にがつがつしていないスマートな都会のおねえさん。
そこである。

立石大河亞は、知る人ぞ知る天才であったが、
生前は有名人であったとまではいかないし
今もあまり知られてはいない。
そこにまたしびれる。
「万人に受けない」
考え方は人それぞれだが、僕はこれに弱い。
万人に受けるほどわかりやすくない、
それはかっこいいなと思う。
客船が沈む映画で「全米が泣いた」とか言われると一気に見る気がなくなる天の邪鬼。
玄人好みというキーワードに憧れる。
これについてはまた触れるが、
とにかく、立石大河亞、
見てくください感じてください考えてください。
みんな、この人の作品見ないで死ぬのは惜しいよ。

↓もうすぐ別の絵本の復刻版も出ます。
すてきにへんな家 (たくさんのふしぎ傑作集)

この記事をシェアする

LIKE! LOVE! INTERESTHING!