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2010.8.26 編集者部

雑誌や本に載せる人名を間違えることについて

ここを読んでいる人に編集者志望の方もいるようなので
今日はちょとしたできごとから、
ここは今後しっかりと意識していただければという話を。

先日、ある雑誌に載った僕の名前が間違ってました。
<石黒健吾>
まあメールやら取材申し込み書ではよく間違えられます。
たしかに<けんご>で変換するとこう出るので
あまり人名間違いに意識がない人だと、よくありますから
いちいち<間違ってますよ>と指摘するほどでもないので特に伝えはしません。
とほほほほほほと、さすがにがっくりはきますよ、そりゃあ。
よく、<パラダイス山元>さんが、<パラダイス山本>
となっていて同じこと思ってるはずです。
先日からネットの書き込みなどで
<梨元勝>さんが<梨本勝>となっているのを見ました。
成仏できんて。

<星稜>を<星陵>と書かれた時はそこそこ言ってますが(笑)。
なんとですね、mixiの星稜コミュとかで
OBなのに間違ってる人、います。ネタではありません!
あなた3年間、何を見て暮らしていたのかと。。。

話を戻して件の<健吾>ですが、
さすがに印刷物で間違って載ったことはそうそうありませんでした。
文の書き手も、編集者も、あるいは校正者も
ふつうは人名は相当間違えないように意識していますから。

なので、さすがに送っていただいた雑誌のお礼などの別件メールに、
その件をさらっと書いておきました。
さらに、僕が関わった記事の中に、別の人の名前も間違いを発見したので
それも伝えておきました。
(そっちは誤字ではなく苗字そのものが違っていた)
万が一、まだ誰も気付かずにお詫びが伝わってなく、
その本人が見たらがっくりくるだろうし、ことによってはその雑誌に
怒りとかあきれるとかそんなネガティブな感情を持つと誰のためにもよくないなと。

・・・・・・

健吾、になってましたが、まあご愛嬌、、、(笑)。
あと、本文中に○○さんの名前が○○さんとなってるので
もしまだお詫びなど伝わってないようでしたら
と老婆心ながら念のため。

・・・・・・・・

僕とやりとりしていた人は、リスペクトしているし、
とてもいい方なだけに特に怒るとかではないですが
さすがに人名を間違えるという、編集者にとってあってはならない
ミスに対して指摘をしないでおくのは、
これまた誰のためにもならないだろうと。
僕程度の名前が間違っていたところでどこにも何の影響もないのですが、
出版全体に対する信用という意味からも、
やはり言っておくことを繰り返すことで、
今後は気をつけて少しでも間違いが減ればと思います。
雑誌ができて数日経っていましたが、
まだ特にお詫びの電話やメールはなかったので
もしや気づいてないかもな、と。

そのメールをさらっと送ってから1週間以上経過しましたが
特にレスはありません。

さすがに名前を間違えられることは、もちろん気持ちよくないですが
まあ人間、ミスはある。
この方やこの雑誌も、わざとやるわけがないし、
同業者としてトホホと思いながらも
まあ、雑誌制作の大変さも意欲も痛いほどわかるので
そこは清濁併せ飲み、あまり気にしてはいません。

しかし、名前を間違えた本人から指摘されて
<申し訳ありませんでした><すみませんでした>等の
メールや電話がなかったことは、正直驚きました。
あらら、、、と墨を飲んだような気分。

たぶん、ですが、やりとりしているこの編集の方は
人名を間違えることがさして大変なことと刻まれていないんだと思うんです。
誤植が本や雑誌になってしまうことは編集者にとって大いに恥ずべきこと。
ただでさえ重大なミスである誤植の中でも
特に人名は、あきらかに相手に対してとても失礼なので、
これは仕事を始めたら上司や先輩などから誰でも意識にたたき込まれるはずです。

僕も時事通信社アルバイト時代から考えると
27年ほどこの仕事やって、おそらく何万という名前を
自分の関わった雑誌や本で出してきました。
『Hot-DogPRESS』で1号に300人ぐらい名前が出てくる
「フツーの女のコ特集」含めて(笑)人名の誤植は一度もないはず。
しかし一度、とんでもないのをやってしまったことがあります。
まだ雑誌記者始めて2年目ぐらいだったか。
イラストレーター・森伸之さんのクレジットを落としてしまったのです。
講談社『PENTHOUSE』誌は、進行がとんでもなく遅く、
ほとんどのページが印刷所でなく、写植屋さんで打って版下作ってました。
その流れで、校了直前まで名前を入れていたのに、
最後に扉ページ差し換えた時に漏れたのに気づかなかった。
見本誌があがってきた瞬間に見つけ、編集部で叫びました。
「ぎゃー!!」
名前があるはずのところにないのです。
頭は真っ白になり、心臓がばくばく。
どうしていいかわからず、下向いてうなってましたが
とにかくすぐに謝らねば、と思い、その場で電話。
脂汗かきながらひれ伏し口調で事情説明し、謝り続けました。
森さんも怒りをぶつけるとかはなかったですが、
「ああ、そうですか……」というしぶーい口調に
たいへんな落胆ぶりは伝わってきたし、
ずいぶん長い時間謝って切りました。
しかし、名前が落ちたことを発見した時の衝撃と
申し訳ない気持ち、恥ずかしい気持ちは今でもはっきりと蘇ります。
僕は早めにこの経験をしたことで、
その後は、それ以前にも増して注意するようになってよかったと思います。

僕のことになっちゃいましたが、
今回の件、その方にはもう伝えることはないのですが、
編集者ならば、せめてお詫びはするべきだと思うのです。
ミスを責めるのではなく、謝らない姿勢は、どうなんだろかなと。

編集者という仕事、奥深く、面白い仕事だと思います。
備えたい素養もいろいろでしょうが上を見ればきりがない。
ただし、<人に対して誠実に対応する>
この1点については絶対に必要なものです。
あ、編集者でなくなんの仕事でも同じな、あまりにも当たり前のことか(笑)。

本や雑誌に限らずあらゆるメディア人に対して思います。
知識、センス、売上げ、流行、人脈……。
たくさんの人に受けいれらるものを出し、注目を浴び、
業界的にかっこよかったり、話題になったり。
それはそれですばらしいことなのですが
誠実なやりとりだけは忘れないでほしい。

ざくっと進めるタイプの人でも、やはり頭を垂れる人は
肝心のところはこまやかにフォローしていますね。
最近、ある方のそんなシーンを間近で見て、真の大物だなあ、と思いました。

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