●『ニッポン カレー大全』 刊行のごあいさつ

石黒謙吾   

 みなさまこんにちは。
このたび、この本をプロデュース&編集させていただきました。
著者の、東京カリ〜番長・水野仁輔氏とは かなり前から、なんやかんやとおつきあいあったものの、 仕事でご一緒したのは今回が初めてです。 前々からぜひ何か一冊、水野氏の本を手がけたいなあと漠然と思っていました。 2006年に僕が『ベルギービール大全』(三輪一記氏と共著)を出した時、 水野氏が撮影現場にも来てくれて、本ができ上がると 「いいですね〜、こういう、ごりっとした保存版的なカレーの本作りたいです!」 と言っていたところで「じゃあもうぜひ慌てずに進めましょうよ!」 と盛り上がり、少しずつ打合せ、 小学館の室田弘さんのご理解を得て 3年近く経ってこうして形になりました。
 本格的な作業に入ったのは昨年秋からでしたが 具体的に内容を詰め、打合せ→構成→撮影→原稿と進行していく中で、 わかっていたつもりだったこの人のカレーに対する愛情の深さが 僕が考えていたスケールの数十倍、数百倍であったと感じました。 そのカレー愛は、30年以上じっくり煮込んだルウのごとき。 カレーについて語る際の 水野氏の楽しそうな表情を見ていると、みんな本気のカレーファンになりそう。 実際僕も、ここ半年、特にゲラ読んでいる時は相当カレー食べました。 水野氏がすごいのは 「食べる」「作る」「知る」「伝える」それぞれの方向を網羅しつつ 鋭く深く掘り下げているところ。 カレー界のゼネラリスト、エバンジェリストという意味では 若くして本当に日本一になったのではないでしょうか。
 そんなわけで、水野仁輔氏の知識スパイスが利いたこの本、 帯コピーに書いた「愛情愛蔵版」に仕上がりました。 末長く日本人の書棚に残っていくような手応えを感じていて 作り手としてとてもうれしいです。
みなさまにおかれましては、ぜひご一読いただければ。 また、何かしらご紹介の機会をいただければ幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。