著者でありながらも、編集者魂が抜けません。しんどく、でもやりがいのあるとても奥深いスバラシイ仕事、編集者にもっと光を! と編者好きの立場で、編集者を♪後ろから前から〜。

2010.10.25

書店回り43軒。自分の無力さを確認できる。謙虚になれる。

先週木曜21日に『2択思考』が発売になったので、
水、木の2日間で書店を43軒回りました。

最初に言っておきますと、
書店員さんにとって、版元の編集者や著者があいさつに来たからと言って、
物理的なメリットはまずないでしょう。
書店員さんは猛烈に忙しい。
見えない部分でやることが山のようにあって大変なんです。
そこにアポなしであいさつに来られても、
時間を取られてしんどいと思うのですよ。
いくら2〜3分でも物理的にはいいことなし。
逆の立場になれば想像つきます。
ちなみに、アポを取っていくのはもっと迷惑と版元の人から聞きました。
きっちりとそこの時間を空けておくのも大変らしい。

だから、最低限のあいさつにとどめるようにしていて、
相手が喜んでいたり、本の内容に乗ってきたらちゃんと話すようにしています。
村上春樹がやってきた、とまではいかずとも有名な著者なら別ですが、
来てくれたことを喜んでもらえることは僕なんかではありえないわけです。
あいさつするときは名刺を出しますが、
90%の人はそれだけで何者かわからないはず。
なので、本を持って声をかけても、人によっては
カンベンして、という表情になる人も、稀にいます。

そして、では回ったからといって、著者や版元にとってのメリット、
直接的な本の売れ行きにはこれまたほとんど関係ないはず。
持っていったPOPを貼ってくれる、置き場を多少は気にしてくれる、
補充を気にしてくれる、返本を先延ばしにしてもらえる、
そんなことが<あり得る>ぐらいがわかりやすいメリット。
なので2日かけて40軒回った見返りは計算できないぐらい、
ない!!!!!! に等しいのです。
では僕がなんでその物理的にメリットのない行為をやるかというと、
「産み出した本に対してやれることはやったという達成感の詰め」
「本気で伝えていきたいんだという覚悟の確認」
「業」(ごう)
たぶんスポ根マインドが好きなんです。
あと、出したい本をお金出して印刷してもらった版元に対して、
せめて何か、少しでもできることを、
直接的なエネルギーをかけた形でお礼しておきたいとも思う。

もちろんしょっちゅうできるわけないので、やらない時はまったくやらず、
ここぞといういう時に、がーっとやっちゃいます。
夕方以降は、忙しそうなので避けたほうがいいと言われてるので、
自分なりの目安としては5時まで。
朝10時に開店するところから始めたとして7時間。
時間と効果のコストパフォーマンスを考えると
当然大型書店中心に行くことになりますね。
場所とコースをうまく段取りして回れば、今までの経験上、
15軒は行けるだろうと踏んでましたが、
今回は、初めて、版元の人と一緒でなく一人で回るから
もっと行けるだろうと目標を上方修正して、20軒に設定。
今回の本は、ビジネスマンが来そうな場所をメインとして。
で、書き出していると、20軒では全然足りない。
そこで、<おっしゃこりゃ今回は2日いったれや!>
とヤケクソ気味で、2日で40軒をノルマとして設定。
結局は、回ってる時近くにあった書店を3軒加えて43軒。
歩き方が相当よくないようで、
初日午後には右膝に感じ始めた痛みは、翌朝にはかなり悪化。
横浜駅到着時点ですでに階段を普通に降りれず、
傘の杖で半歩づつという状態。
2日目は、イテテイテテと顔を歪めながら左足だけで回ったという
被虐的傾向のアホです。

●オリジナルのチラシ的注文書、●自分で作ったハガキサイズのPOP、
たぶん見てもらえることはないだろうけど、●目次の一覧、
と書類3点セットを透明ファイルに入れておき、書店員さんに渡していく。

ビジネス書の棚あたりに書店員さんがいればそこで、
いなければ、レジで、本を手にまず声をかける。
「すみません、この本の著者なんですが、新刊のごあいさつに回ってまして、
ビジネス書のご担当の方お願いしたいんですが…」
気分的には、路上のキャッチ取材と同じです。
担当者がいればまずはラッキー。
呼んできてもらえたら、名刺を出してあいさつし、
ファイルを渡してささっと用件を伝え、
「動きでもあるようでしたら、よろしくお願いします」
と頭を下げて粘らずに退散。
しかし半分近くは、担当者が休み、食事、休憩などで、
声をかけた人に「では、お渡し願えますか」とファイルと名刺を託すだけ。
いないとがっくりきますが、これはもう仕方ない、と切り替えて
次へ次へと進みます。

今回は一人で回っていたせいか、クールな対応のところもまあありました。
受け取ってくれるだけで無表情、みたいな感じです。
1軒、特にキビシイところが。
最初に声をかけた若い男の人が、横にいた女性の入庫担当者に声をかけてくれたんです。
すると本を棚に置くのに忙しそうにしていたその人は
「すいません。アポとってない方のごあいさつはお断りしてるんです」
とビシッ。
それはそうですよね。
本来こちらが仕事中に無理に声かけてるんですから。
書店回りで初めて面と向かってこう言われたので、
わがままなことしてんだよなー、と思い知りました。

ちなみに同じ系列店の他の店では、
とても手厚く対応いただきました。
よく「あの書店は云々」という人がいますが
どんな仕事でもそうですが、結局は会社じゃなく人次第ですね。

とても喜んで頂ける人や、
本の内容、売り場のことなどについていろいろ話しが弾む人もいて
そんな時は、よっしゃ!とやはり俄然やる気が出てきます。
特に嬉しそうな顔を見ると、この顔に出合いたくて回ってるんだと思うのです。
今回びっくりの出来事が。
川崎の<あおい書店>でたまたま入ってすぐ棚にいた方に声をかけたら、
向こうがびっくりしていて、
<ツイッターでフォローしてます!だから毎日合ってるような気がします(笑)>
店長さんだったのですが、いやー、びっくり&歓喜で盛り上がりました。

てなこともありますが徒労感すら感じるそっけないとこが多いもので
それは当たり前のことなんですね。
そして、いくら僕が直接訪ねてもなんら状況を動かせもしなければ、
書店にとっても版元にとっても自分にとっても何も変わらないと思い知る。
<おまえひとりでは本は世の中に残せない>と天の声。
自分は何もできないという無力感、そして自分の小ささ。
それを思い知り、ややもすると忘れがちな、
謙虚であることの大切さ、初心を染み込ませてくれる。

一度、同業者と飲んで書店回りのメリットのなさを話してたら、
じゃあ石黒さんなんで行くの?と聞かれて、さっと出た言葉は、
「そこに書店があるから」

<『2択思考』書店周り>
                2010/10/20〜21 <43店舗>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<1日目ー21軒>>>>>>>>>>>>>>>>
10時〜17時

【東京駅】
●丸善
●八重洲ブックセンター

【銀座】
●三省堂 有楽町 交通会館
●ブックファースト銀座コア
●福家書店 博品館の裏  >>10/25にて閉店

【浜松町】
●文教堂書店 貿易センタービル別館

【秋葉原】
●有隣堂

【お茶の水】
●丸善

【神田】
●三省堂
●書泉グランデ

【池袋】
●ジュンク堂
●リブロ

【新宿】
●紀伊国屋本店
●ジュンク堂
●紀伊国屋本店南口店
●BOOK 1stルミネ2
●BOOK 1st ルミネ1
●BOOK 1st 西口 コクーンタワー

【恵比寿】
●有隣堂 アトレ恵比寿

【目黒】
●有隣堂 アトレ目黒

【品川】
●あおい書店 イーストンタワー2F
●くまざわ書店 インターシティ2F

<2日目ー22軒>>>>>>>>>>>>>>>>
10時〜19時

【横浜】
●有隣堂 西口ダイヤモンド
●あおい書店 西口ダイエー
●丸善 西口地下
●有隣堂 ルミネ横浜
●紀伊国屋 そごう7F

【川崎】
●丸善 ラゾーナ川崎
●あおい書店 ダイス川崎

【六本木】
●ABC
●ABCヒルズ店 六本木ヒルズ West Walk 4F
●TUTAYA けやき通り

【赤坂】
●旭屋 ベルビー赤坂
●文教堂

【青山】
●ABC本店

【吉祥寺】
●啓文堂 丸井6F
●リブロ パルコB2F
●ジュンク堂 コピス吉祥寺 ロフトの近く

【渋谷】
●啓文堂
●山下書店
●ブックファースト
●リブロ
●丸善&ジュンク堂

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2010.8.31

ボサノバ的ザツガクの本、超特急刊行への道

先日出た『キャンバスに蘇るシベリアの命』は5年ががりでしたが、
こちら対極に、4ヶ月弱でスピード刊行となった本が、9/8に刊行されます。

『このツイートは覚えておかなくちゃ。』
(嶋浩一郎)講談社

雑学ってお勉強感が漂いがちですが、
これは身近でかつ、さらっとしていて、&リズミカル。
なので帯コピーにて「ボサノバ的ザツガク」。

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プロデュース・構成・編集を手がけましたが、
企画思いついて著者の嶋さんにメールしたのが5/10。
当初は8/10売りで進んでてそのタイミングで出せたので
実際は3ヶ月で発売にこぎつけたという僕の中でも2番目のスピード記録。
ちなみにもっと早かったのは、パラダイス山元さんと緊急に造った
『たこやきDEマンボ!』です。

↓ 装幀は、寄藤文平さん。ハマったゆるさでいい感じ。
 10/21に出る僕の著書『2択思考』(マガジンハウス)も寄藤さんで今まさに進行中

このタイトルと、キャッチコピーの「ボサノバ的ザツガク」は、
嶋さんにメールした時にはすでに思いついていました。
というか、思いついたので、これは本になる、と行動に出たと言うべきか……。
すぐに企画書書いたのですが、その時、
『このツイートは覚えておかなくちゃ。』

『ボサノバ的ザツガク』
のどちらにしようかと迷ったのですが、
どこの版元も企画通す時は、よりキャッチーな、というかベタな、というか、
フックがあるものを欲しがりますので、まあ前者で。
通ってすぐにそのことも伝えましたが、
やはりツイッターという単語が香ばしく思えたようでコレに。
長い目で、ロングテールになる本なら後者だし、
内容的にもそちらのほうが近いのですが、
もし文庫にでもなるようなら、『ボサノバ的ザツガク』でもいいかなと。

↓ 中面はこんな。鈴木順幸さんのイラストが555ネタのうち、50コ入ってます

スピード刊行へのいきさつはこう。

嶋さんがよく飲みの席で披露するトリビア的ネタをまとめたら面白いなと思ってたら、
今年になってツイッター上でそれをつぶやき始めました。
最初は「へえー」と見ていたのですが、
半年ほど経ち「あ、これまとめればいいんだ!」と気付き、5/10に即連絡。
この時すでに、タイトルを『このツイートは覚えておかなくちゃ』と書いて送りました。
補足しておくと、嶋さんのザツガクネタツイートの最後が、
「〜な人は覚えておかなくちゃ」と締めることが多かったから。
以下、リアリティ溢れるメールのやりとりをご披露。

最初はツイッターで「これ本にできますよ」とDM送ってあとはこれ。

・・・・・・・・・
石<タイトルはこれ。『このツイートは覚えておかなくちゃ』 嶋浩一郎>
嶋<ホントに本になりますかね?>
石<僕がイケルと思って自分から動いてならなかった確率は3%ぐらいかなあ。
  その3%になる可能性もありますが(笑)
  この件マジで近々、ビールでもどうすか?遅めの下北でもお互い好都合かも??>
嶋<じゃあその3%にかけてみましょうか。
  19日の夜とかどうでしょう? ビールの会は。下北か代々木上原なぞ>
・・・・・・・・・

ここまで1日。
5/19に飲みつつイメージなど話して、5/20に企画書作成。
5/26にネタをすべてデータでもらい、
その日18時33分から、企画書を出し始めました。
これは急ぎネタだと思ったので、今回はメールで一気にたくさん提出。
(いくつ出していくかはいろいろなパターンあり。決めにくいのは多いし、
自信度高ければ1社づつ。あとは中間で、何社かとか、すべてカンです)
その日にまず8社。もちろん懇意にしている編集者ばかり。
うち3社はすぐにNGの連絡くれました。
これ、非常に助かるのです!

K社T氏 ●「ツイッターっぽくつぶやく雑学(うんちく)」
     という企画では売るのが難しい気が……。
G社K氏●面白いと思います。が、緊急でツィッター本を作っている関係で
P社I氏●その手には社として乗らない感じ。ロングでベタに売っていくうちの営業スタイル

みなさま理由もお書き添えいただき、また何かあればと、ありがたいことです。
企画は断られるのが仕事なので、さくさく×くれるのは思いやり感じますね。
残る社はその日、ノーレス。
その日に3つNGいただいたので、これは少し追加しようと、
翌27日、13時に1社、20時に1社追加出し。
13時のP社Y氏からはすぐ「ツイッターネタは、別の担当がしくじりまして」とNG頂く。
19時に、前日出した1社、G社のF氏より、会議に出してみますとレスあり。
ありがたいことです。
あと、連載やらせていただいていた『KING』の編集長だった
講談社の原田さんが書籍に移動になっていたと思いつき、
出せるものか20時に打診メール。
これで計11社出しの3社NG、残8社(うちレスなし6社)。
翌28日朝、講談社の原田さんから10:00にメールあり。
すぐに10:09に企画書送り、10:26に「面白い!エントリーします」とレス。
10:26に「あ、では決定させてください!まだ他から決定などないので。
       ありがとうございます!電話します」
でその場で念押しで電話して決定。
なななんと、企画書送って決定まで、驚異の17分!
原田さんが編集長だからなんですが、それでもすごい。
もはや自分的にこの記録をは破られることはあるまいて。

その翌日にレスのあったA社のM氏は「会議に出します」と頂きましたが
状況を説明してご了承いただきました。
同じく「会議に出します」だったG社のF氏にも同様に。
お二人ともおめでとうございますと言っていただきありがたいことです!感謝。
F社O氏は「これから検討します」、
B社H氏からは「他の部署がハマるので紹介します」とその日にレスありましたが、
やはり同様に説明を。

28日に決まったので、その直後、寄藤さんに電話で打合せアポ。
そのあとは、イラストレーター鈴木順幸に描いていただく段取りとか超特急で進行。
当初は、8/10発売で進めてましたが、校了直前で講談社より
<9月に入ってから、販売ががちっと力入れて売りたいと言うので>となり、現在に至る、と。

いきさつが僕としても面白かったので長くなりましたが、
早くできてもいいものはいい!
ということで、この本は買ってトイレに置いておかなくちゃ。

↓ これ、帯がついてない画像。帯は水色です。

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2010.8.30

『JJ』『can cam』の読者に伝えたいシベリア抑留の本

企画思いつきから5年弱かかった本が、8月末、刊行に至りました。
『キャンバスに蘇るシベリアの命』
(絵・勇崎作衛 構成・石黒謙吾)創美社・発行、集英社・発売
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勇崎さんの絵と話を知ったのは2005年秋に放映された深夜のドキュメント番組。
叔父がシベリア抑留者ということもあり、何かに衝き動かされるように、
翌朝早くに制作した札幌テレビに電話し、
勇崎さんの娘さんにつないでいただき、すぐに病院に会いに伺いました。
描かれた絵がお寺に置いてあるということで、
これまたすぐに撮影に伺い、朝から夜遅くまで丸々2日かけて撮りました。
企画が通るかどうか未知数でしたが、とにかく撮って見せなければ始まりません。
フィルム・現像代など8万円はまずはリスクとして氣合いも入れようと。

↓ 8/13に、札幌テレビのニュース番組でオンエアされました。
  僕が事務所と、勇崎さんを訪ねたところを取材された映像です。

シベリア抑留者だった勇崎作衛さんが(現在87歳で寝たきりです)、
60歳を過ぎてから独学で描き始めた油絵、87枚を掲載。
それぞれの絵についてのリアルな体験談や思いは僕がまとめました。
といっても、勇崎さんが残したメモや文章、資料を複合的に整理して書いただけなので、
気分的にはゴーストライターです。
僕が初めてお会いした5年前にはすでに勇崎さんは
ほとんど話ができない状態でしたので、取材ができなかったのが残念でしたが
結果的にこのやり方をとらざるをえなかったことは、
より客観視できてよかったのかもしれません。

企画を思いついた最初から頭にあったのは、
若い人たちが「難しくて暗い話だよね」と敬遠しない本を造ろうということ。
特に戦争体験者の孫やひ孫世代の20代〜30代の若い世代が、絵を見て、体験を読み、
戦争のリアリティを感じてもらえる佇まいの本を。
装幀も、若い女性でも抵抗なく手に取れるものをと川名さんに話を。
何が起こっていたのかすっとわかるように、
絵のタイトルだけではなく、絵には内容が伝わるキャッチコピーを、
本文も語り口調でポイントを大きな字で見せようと考えました、
軍隊的、戦時的な専門用語も極力使わないことも意識して。
タイトルにも、あえて<抑留>という言葉は入れませんでした。
内容も実際、悲惨な情景を描いていますが、絵も内容も、
人の命の大切さを感じてあたたかい気持ちにすらなれるものです。

4年にわたって10社ほど断られましたが、
今年2月、創美社さんに意義をご理解頂き刊行に至りました。
深く感謝です。

シベリア抑留体験を風化させてはいけないという思いを
ひとりでも多くの方に感じていただきたいです。

↓ デザイナーは川名潤さん。すばらしい仕上がり。
 『犬と、いのち』←に続いて、シリアスなものを続けてお願いしました。

↓ 中面の半分はカラーの見開きに、勇崎さんが描いた油絵が1点〜4点づつ。
  何が起こったからわかるコピーを絵のタイトルより大きめに。

↓ あとの半分は、モノクロで、前の見開きに対応した文章を載せています。
  ポイントとなる言葉、文章を、ぱっと目に入ってくるようにデカ字にしてあります。

↓ 後ろには、勇崎さんが作った等身大人形やジオラマの写真もあります。
  絶対に風化さえないというすさまじい執念を感じました。

↓ 以下に<まえがき>全文載せておきます。わかりやすいので。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
(見出し)
生きている、ただそれだけを感謝したい

「夜中寝ていて急にかゆくなり目が覚めると、横にいた少年が死んでいた。冷たくなった少年の身体を見捨てたシラミが、自分のところに移動してきたのです」 
 勇崎作衛さんの絵と体験が紹介されたドキュメント番組を見たのは2005年秋。僕の叔父もシベリア抑留者だったせいか、この内容は感情の奥深くまで突き刺さってきました。こんな惨劇が、戦争が、人間同士の殺し合いが、二度と起こってはいけない。いのちが無残に散っていくことに対して感情が麻痺してはいけない。人間同士、生きるもの同士、他者の痛みと悲しみに目を向けなければ、欲望にまみれたごく一握りの人間の暴挙に抗することができず、戦争が繰り返されてしまうかもしれません。
 世界中の人がそう強く意識するためには、いったい戦争で何が起こっていたか、人の心に何を残していったのかを、風化させず後世に伝えていくことが最初の一歩です。それぞれの一歩は小さくても、横に並んで進めば必ず大きな行進となることでしょう。勇崎さんが半生をかけて描いた絵を見て、体験談を読むことは、子供に対してでもわかりやすく、しかしリアルに状況や情景を残していくためにとても効果的であると感じました。
 
 実際の戦争体験を親から聞いた世代、祖父母から聞いた世代ときて、今の若い人では家で身内から聞かされる機会はなくなっているはずです。直接、死と隣り合わせていた人の話には迫力があります。戦争体験者が高齢となり、どんどんと話を聞くことがかなわなくなってきている今、歴史の語り部としてメッセージを残していっていただきたい。
 中国で病院の衛生兵として働いていた勇崎さんは、1945年(昭和20年)の終戦時、当時のソ連軍のシベリア強制連行によって抑留者となりました。この本に収めた「涙を流しながら描いた」87枚の絵と体験談は、日本に帰るまでの3年間を流れに沿って再現していった貴重な記録です。
 なんらかの引き合う縁あって、戦後65年を経た今この本を手にしていただいたみなさまには、どうか、自分の愛する家族が、たった今、ここに描かれた収容所に入っていると想像して絵と文章に入り込んでもらえれば、と。子供が、夫が、妻が、彼が、父が、母が、兄弟が、極寒の地で狂うほどの飢えに苦しみ、重労働をし、人間の尊厳を失う行為を強いられていたら……。餓死、凍死、事故死などの恐怖に堪えながら生きるあなたが愛する人は何を思い何を支えに生きるのか、そしてあなたは何もできない無力感、悲しみ、絶望の中、誰かを恨むのだろうか。絵の1点1点から想像してみてください。

 戦争体験者、抑留体験者は、具体的な状況は話したがらないとよく聞きます。たとえば、自分の真横に血を拭き出した友が転がっていたことなどは思い出したくないに決まっています。そのどす黒い記憶の呪縛から少しでも解き放たれたい、と誰しもが切望するからでしょう。僕の叔父のそうでしたし、勇崎さんもそうだったと娘さんから聞きました。ほとんど具体的な事柄は口にしたことがなく、家族は、65歳を過ぎて絵を描き始めてからその作品で知っていったそうです。
 87歳の現在、勇崎さんは病床で、ほとんど話ができない状態です。5年前、番組を見てすぐに連絡を取りお会いしたのですが、少し前に脳梗塞で倒れ、以来同じ状態が続いています。それなので、本を作るにあたり、残念ながら僕自身が取材することは叶いませんでした。ただし、ご自分でまとめた画集や小冊子などに、絵に関する文章がいくつか綴られていました。同世代向け、子供向けなど、文体も長さもさまざまなもの。幅広い読者層に向けた内容にするべく、僕がそれらの文章と他の資料を複合的に整理して本書の原稿にまとめました。とは言え、当事者の勇崎さんしか産み出せない、生と死を彷徨し、ある時は無の境地に達したとさえ思わせる表現、人間の尊厳や研ぎ澄まされた愛情が迫り来る言葉や調子などは、最大限活かしています。
 
 この本が、普段戦争のことを見聞きする機会が少ない人々、特に、『CanCam』『JJ』などを読む、これから母親になる若い女性にも手に取ってもらいたい。惨(むご)さを認識することは、「いのち」「いたわり」「慈しみ」「愛」を感じることにつながっていくと思います。さらには一人でも多くの人が、自分と他人を無用に比較することなく、ただただ「生きていることそのものに感謝」できる心へ向かえば、惨劇は減っていくのではないかと。
 戦争で命を落とした数限りない人々、シベリアに眠る5万人、そして勇崎さんのシベリア抑留体験が、人の感情を揺さぶりながら世界平和への力の一部となってことを願っています。

             2010年7月          石黒謙吾

謝辞

快く勇崎さんをご紹介いただいたドキュメント番組を作られた札幌テレビ放送のディレクター、長田真博さん。許諾等協力いただいた勇崎さんの娘さんである鈴木睦世(ちかよ)さん。抑留者のための支援活動を推進している全国抑留者補償協議会の有光健さんには、刊行に合わせての展覧会開催にご尽力頂きました。大澤さんはじめ発行元の創美社のみなさまには刊行の意義をご理解頂きました。この場をお借りして深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

↓ 二度と戦争が起こらないよう、子孫に残していってほしいと願います。

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2010.8.26

雑誌や本に載せる人名を間違えることについて

ここを読んでいる人に編集者志望の方もいるようなので
今日はちょとしたできごとから、
ここは今後しっかりと意識していただければという話を。

先日、ある雑誌に載った僕の名前が間違ってました。
<石黒健吾>
まあメールやら取材申し込み書ではよく間違えられます。
たしかに<けんご>で変換するとこう出るので
あまり人名間違いに意識がない人だと、よくありますから
いちいち<間違ってますよ>と指摘するほどでもないので特に伝えはしません。
とほほほほほほと、さすがにがっくりはきますよ、そりゃあ。
よく、<パラダイス山元>さんが、<パラダイス山本>
となっていて同じこと思ってるはずです。
先日からネットの書き込みなどで
<梨元勝>さんが<梨本勝>となっているのを見ました。
成仏できんて。

<星稜>を<星陵>と書かれた時はそこそこ言ってますが(笑)。
なんとですね、mixiの星稜コミュとかで
OBなのに間違ってる人、います。ネタではありません!
あなた3年間、何を見て暮らしていたのかと。。。

話を戻して件の<健吾>ですが、
さすがに印刷物で間違って載ったことはそうそうありませんでした。
文の書き手も、編集者も、あるいは校正者も
ふつうは人名は相当間違えないように意識していますから。

なので、さすがに送っていただいた雑誌のお礼などの別件メールに、
その件をさらっと書いておきました。
さらに、僕が関わった記事の中に、別の人の名前も間違いを発見したので
それも伝えておきました。
(そっちは誤字ではなく苗字そのものが違っていた)
万が一、まだ誰も気付かずにお詫びが伝わってなく、
その本人が見たらがっくりくるだろうし、ことによってはその雑誌に
怒りとかあきれるとかそんなネガティブな感情を持つと誰のためにもよくないなと。

・・・・・・

健吾、になってましたが、まあご愛嬌、、、(笑)。
あと、本文中に○○さんの名前が○○さんとなってるので
もしまだお詫びなど伝わってないようでしたら
と老婆心ながら念のため。

・・・・・・・・

僕とやりとりしていた人は、リスペクトしているし、
とてもいい方なだけに特に怒るとかではないですが
さすがに人名を間違えるという、編集者にとってあってはならない
ミスに対して指摘をしないでおくのは、
これまた誰のためにもならないだろうと。
僕程度の名前が間違っていたところでどこにも何の影響もないのですが、
出版全体に対する信用という意味からも、
やはり言っておくことを繰り返すことで、
今後は気をつけて少しでも間違いが減ればと思います。
雑誌ができて数日経っていましたが、
まだ特にお詫びの電話やメールはなかったので
もしや気づいてないかもな、と。

そのメールをさらっと送ってから1週間以上経過しましたが
特にレスはありません。

さすがに名前を間違えられることは、もちろん気持ちよくないですが
まあ人間、ミスはある。
この方やこの雑誌も、わざとやるわけがないし、
同業者としてトホホと思いながらも
まあ、雑誌制作の大変さも意欲も痛いほどわかるので
そこは清濁併せ飲み、あまり気にしてはいません。

しかし、名前を間違えた本人から指摘されて
<申し訳ありませんでした><すみませんでした>等の
メールや電話がなかったことは、正直驚きました。
あらら、、、と墨を飲んだような気分。

たぶん、ですが、やりとりしているこの編集の方は
人名を間違えることがさして大変なことと刻まれていないんだと思うんです。
誤植が本や雑誌になってしまうことは編集者にとって大いに恥ずべきこと。
ただでさえ重大なミスである誤植の中でも
特に人名は、あきらかに相手に対してとても失礼なので、
これは仕事を始めたら上司や先輩などから誰でも意識にたたき込まれるはずです。

僕も時事通信社アルバイト時代から考えると
27年ほどこの仕事やって、おそらく何万という名前を
自分の関わった雑誌や本で出してきました。
『Hot-DogPRESS』で1号に300人ぐらい名前が出てくる
「フツーの女のコ特集」含めて(笑)人名の誤植は一度もないはず。
しかし一度、とんでもないのをやってしまったことがあります。
まだ雑誌記者始めて2年目ぐらいだったか。
イラストレーター・森伸之さんのクレジットを落としてしまったのです。
講談社『PENTHOUSE』誌は、進行がとんでもなく遅く、
ほとんどのページが印刷所でなく、写植屋さんで打って版下作ってました。
その流れで、校了直前まで名前を入れていたのに、
最後に扉ページ差し換えた時に漏れたのに気づかなかった。
見本誌があがってきた瞬間に見つけ、編集部で叫びました。
「ぎゃー!!」
名前があるはずのところにないのです。
頭は真っ白になり、心臓がばくばく。
どうしていいかわからず、下向いてうなってましたが
とにかくすぐに謝らねば、と思い、その場で電話。
脂汗かきながらひれ伏し口調で事情説明し、謝り続けました。
森さんも怒りをぶつけるとかはなかったですが、
「ああ、そうですか……」というしぶーい口調に
たいへんな落胆ぶりは伝わってきたし、
ずいぶん長い時間謝って切りました。
しかし、名前が落ちたことを発見した時の衝撃と
申し訳ない気持ち、恥ずかしい気持ちは今でもはっきりと蘇ります。
僕は早めにこの経験をしたことで、
その後は、それ以前にも増して注意するようになってよかったと思います。

僕のことになっちゃいましたが、
今回の件、その方にはもう伝えることはないのですが、
編集者ならば、せめてお詫びはするべきだと思うのです。
ミスを責めるのではなく、謝らない姿勢は、どうなんだろかなと。

編集者という仕事、奥深く、面白い仕事だと思います。
備えたい素養もいろいろでしょうが上を見ればきりがない。
ただし、<人に対して誠実に対応する>
この1点については絶対に必要なものです。
あ、編集者でなくなんの仕事でも同じな、あまりにも当たり前のことか(笑)。

本や雑誌に限らずあらゆるメディア人に対して思います。
知識、センス、売上げ、流行、人脈……。
たくさんの人に受けいれらるものを出し、注目を浴び、
業界的にかっこよかったり、話題になったり。
それはそれですばらしいことなのですが
誠実なやりとりだけは忘れないでほしい。

ざくっと進めるタイプの人でも、やはり頭を垂れる人は
肝心のところはこまやかにフォローしていますね。
最近、ある方のそんなシーンを間近で見て、真の大物だなあ、と思いました。

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2010.7.16

著書を書く時はこうしています

今、8/26発売の本の原稿を書いています。
『キャンバスに蘇るシベリアの命』絵=勇崎作衛、構成=石黒謙吾
(創美社/発行、集英社/発売)
この本の内容についてはまたブログであらためるとして
今日は、どれぐらいの時間をかけてるかについてを。

あくまで僕の場合ですが、
原稿そのものを書いている日数は、結論だけ先に言うと、
ほとんどの著書で平均10日間、長くても2週間ほどです。
書籍のページにして1日10ページは進みます。
それならがんがん著書出せるじゃんかとお思いでしょうが
そんなオイシイ話はありません。
これはあくまで「他に何もしなくていい日」である場合に限って、なのです。
小説家などでは、比較的、執筆に集中できることが多いのではないかと思いますが、
僕の場合は、編集者もやってるため、あとは一応(!)会社にしているため、
雑案件、雑連絡がぼんぼん入ってくる。
連載記事などもある時はそこそこある。
するとなかなかそのことだけに集中して書ける状況が訪れないのですよ。

進行中のプロデュースしている本の著者や版元やデザイナーとの連絡、調整、打合せ、
原稿やデザインの取り立て、
ゲラなどのチェック、事務手続など、細々細々不思議と湧き出てくるものです。
取材の申し込みなんてもの舞い込んできます。
僕程度への取材だとそれもたいがい「あのー……。あまり時間がなくて急なのですが……」
なのでアポ入ったらすぐに笑って聞くようにしてます。
「オッケーですよ。で、時間、ないんでしょ?」
「あ、はい……」
そのほうが相手もラクでしょうから。
あとは、単発モノの記事、イベント出演などの依頼、
出版パーティや飲みのお誘い等々。
どれもこれもありがたいと感謝すべきことですから、基本はお請けする。
すると、「人と会わず、マストな急ぎ作業もなくどかんとスケジュールが空く日」
がほとんどできないわけです。

なので、著書を書くためには、まず、数ヶ月計画で、
やることを減らしていきます。
そして、よし! 「この2週間は予定を入れない!」と設定。
それでもやはり、どうしてもそこで、という取材請けなど入りますから
そんなときは、朝10時〜11時、か、夜の9時〜10時
などにしていただき、そこに順次予定を詰めこんでいって、
そこを「捨て日」にします。ちなみに、明日、土曜日がその日です。
キャンディーズ解散宣言記念日で、夕方から日比谷野音にいくため(笑)。
打合せも明日に入れました。野田さん、ありがとうございます。
こうして極力まとまった時間を作ります。

整いましたらばその間で終らせますが、僕の場合は本文を書き始める前に、
タイトル、帯、章見出し、本文と別扱いのページなどを
デザイナーがかかわる部分をきれいに片づけ、
あとは<オレだけの問題>として、憂いをなくすというか追い込んで、
背水のジントニックにしてスタートです。

そして、書き始める前にまず、この日にこれだけやって何日かかるかの表を作成。
これに基づき進め、遅れたら翌日早く事務所に来て追いかけます。
僕の場合は、12時間以上やってもぼーっとして意味なくなるので
10時〜10時が基本です。
このうち、昼飯、朝晩の諸連絡雑用で2時間は書けない時間です。
よって、書くのは10時間MAX。

ジャンルによるのですが、エンジンさえかかれば
1時間に1Pは計算できます。
四六判などノーマルな判型と内容の原稿なら、
1Pは多くて40字×20行の800字とかですね。

『盲導犬クイールの一生』は、この本を作ろうと思ってから刊行までに
6年かかりましたが、最後に原稿書いたのは、7日ほどでした。
写真と文章がだいたい半分なので、80ページ程度の原稿です。
といっても、関係者に許諾を得て、根回しし、企画書作り、
版元に通して、断られ、また通して、取材し、写真選び、ラフ切って、
とここまでが5年と11ヶ月半かかったわけですので、
本自体が10日でできるわけではないので誤解なきよう。

『ダジャレ ヌーヴォー』は、ダジャレの用例文1000個を書きましたが
1コ、5分の計算で10日で書いた時は
(そうしないと刊行日に間にあわなかった)
すごい達成感があり、
10日間で書き終って家に帰ってメシ食い始めたら、
カミサンの前で自然に涙がぼろぼろ出ました。
あんなのは初めてでしたが、あの集中力は自分でも人生最高だったと思います。

『エア新書』は、100人分の、タイトル、サブタイトル、帯コピー、
見出し5本と言う濃い内容でしたが、本文は5日で書きました。
30分1人分、1日10時間で20人でばっちりと。
『ぞりん』『すべらない偉人伝』『パピーウォーカー』などなど
本文がごりっとある著書はほとんどこんな進め方をしています。
ちなみに、ゆっくり書いても僕の場合は、クオリティはさほど変わりません。
最大限いいレベルがしれてますから(笑)。
ぼちぼち書きためた、という話を聞くと、逆にすごいなと思います。
僕は性格的にできないんですね、たぶん。

さて、昨日後半から本格的に本文に入ったシベリア抑留本で
12日に立てた予定は以下の感じ。

<シベリア 進行予定>
             2010/7/12
////////////////////////

12日(月) 終日OK   下準備
13日(火) 朝〜18時  まえがき あとがき まとめ文 
14日(水) 13時〜夜  2見開き
15日(木) 終日OK   5見開き
16日(金) 終日OK   5見開き
17日(土) 他の用事日  ×
18日(日) 終日OK   5見開き
19日(月) 朝〜19時  3見開き
20日(火) 朝〜18時  2見開き
21日(水) 終日OK   5見開き
22日(木) 終日OK   5見開き
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
23日(金) 終日OK   <予備日>

本文以外の部分はすべてデザイナーの川名さんに回っています。
表紙や帯などは最初に書いたのでおとといすでに印刷所に入りました。

さすがに、順序がめちゃくちゃ逆になった本ですが(笑)
87枚の絵に付けるコピー、ビジュアル中心ページ、
自分の前書き、勇崎さん分のあとがき、プロフィール、クレジット、奥付、
すべて終って憂いなしなし。
しかし、すでに他案件に時間を相当取られ(笑)オシオシ!!
『Number』ゲラチェック、「本座」サイト記事チェックと次回ラフ、
『文藝春秋』の取材受け(今後の政局について…なわけなく、毎度のキャンディーズ笑)
8/9売『このツイートは覚えておかなくちゃ。』(嶋浩一郎・講談社)の入稿
日本ビアジャーナリスト会議の懇親飲み、
など実は今週来週こまごま案件ありますが、重いものはかわせるので
でも来週じゅうには絶対に終らせますよ。

シベリア抑留者の勇崎さんは、現在87歳。
僕が初めてお会いした4年前には脳梗塞で倒れたあとですでに病床で
話ができない状態でした。
なので、勇崎さんが書かれた文章やメモ、資料などをもとに
僕がゴースト的に、成り代わって書いています。

昨日からハチマキし始めたらエンジンかかってきました
ハチマキすると[ククる]神が降りる的なことを<ブログ伊勢ー白山道>で読みましたが、
凍土に眠る人が降りてきた感じ。

4年前から企画して、しかもこんな少部数の地味な本の原稿に
時間かけていてるとめげそうになることもあるけど、
僕の死後でも、誰かがきっとこの記録を見て、
惨劇の中で生死の境目を彷徨した人が何を思っていたかを
知ってもらえると信じて自分に喝を入れています。

この原稿を書いていると、生きているだけでなんとありがたいことかと、
ふつふつと万物に感謝の念が湧いてくる。
これを読んでいただいている方にも感謝です。
ありがとうございます。

さて書こう。

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2010.6.3

本作りは長い旅に似て…

本を作る行為は、旅行を思いついてから終ったあとまでの
いろいろな場面に見立てられると思います。

一昨日のブログで書いた←宣伝会議の講座のために
昔の講義のメモなどを引っ張り出してたらこんなものが出てきました。
(クリックで大きくなると文字が読めるかと)

6年前に、津田塾大学で、一般の方を含めた公開講座をやった時に配った資料です。
1年間、実行委員の学生がその年のテーマを決め、
毎月、さまざまなジャンルの人が、400人ほどの聴講生を前に長い時間で話をする
面白い主旨のもので、その年のテーマが「旅」でした。

ならばやはり、ここは一般の人にはイメージしにくい
「編集」に、旅行を「見立て」てみようとこんなの作って話をさせていただきました。
思いつきから考え始めたのですが、
これがまた、パーツパーツがすぱっとうまくハマるんです。

特に自分でもツボに入ったのは、本が出来た後と、旅行が終ってから。
旅行のあと集まって写真交換したり=献本やパブ依頼などなど、
そして、次回どこ行く?なんて話が出るってことは、
仲間同士うまくいってしかも楽しかったということ。
すなわち、クリエーター同士のチームワークもよく重版がかかって
次回もなにかやりましょう!となるようなもの。
このへんは、出版に関わってない人は特に想定外のような気がするので
学生さんたちも興味深そうでした。

ということで、出版関係者もそうでない人も
その時配った講義の事前説明文面も下につけておきます。
上の写真見つつ、つなげあわせ、想像膨らませてみたくださいね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

津田塾大学 講演内容

「本を作る」という行為は、とても旅に似ています。
本作りは、一般的にイメージしやすい「原稿を書く」こととはまた違うもの。
僕の本業である、「編集」というクリエイティブワークが、その根幹をなすわけです。
原稿を書く人がいて、写真をとる人がいて、イラストレーター、装幀家、
印刷所の人、出版営業の人など、多くの人の意識と都合を考え、
残したいものを残していくコンダクター的作業、それが編集なのです。
スケジューリングをし、予算を考え、アポイントメントを取り、
枠組みを考えながら組み立て、やりたいことと現実、そして他人の都合を
調整しながら進めるこれらの行程は、まさに旅そのものです。

急いで作る本は、友達と行く1泊2日の温泉旅行でしょうか。
大人数で、長期にわたって世界を旅するならば、
それは百科事典と言えるかもしれません。
時間とともに進む、この
“手離れ悪くつらくて楽しい仕事”と、
“面倒だけど楽しい娯楽”のふたつを、
僕の経験などから見立てて伝えられれば、と思っています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

↓ この本は、計画してから出発まで2年ぐらい、行程は1年の長旅でした。
 造り終えた後、母親、父親がガンで亡くなるということもあり感慨深い本となりました。

↓ この本は、急に決まってサクッと行った1泊2日程度の楽しい旅でしたねー。
  寄藤さんの装幀もめっちゃ気にいってます。

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2010.6.1

編集者が携えたい素養 レーダーチャート分析[私的考察]

ひさしぶりに講師的なことをやることになってます。
美術の先生目指してたぐらいで、教えるのがだだだだだ大好き。
「宣伝会議」の米光一成さんの講座のゲスト講義です。
<6/12(土)夕方〜>
30人ぐらい来ると言うことなので、この場でざっくりした内容を書いておいて
米光さんのメーリングリストでココ読んでおいてもらえるようお願いしようと思います。

「宣伝会議」と言えば、月刊『編集会議』で2年半、30回にわたり、
「 ch ART 」<ロジックとアートとウィットの融合>という連載やってました。
5/19にブログに書いた←
「 ch ART 」<ロジックとアートとウィットの融合>という記事です。
あの建物入るのは9年ぶりかあ、懐かしいなあ。

まず、講義で何話そうかな、僕らしいものはと考えて決めたことは、
「書く=著者的なこと」ではなく「編集者的なこと」がいいだろうなと。
書き手は、関わるジャンル、仕事の形態、打ち出し方、目指しているところ
などによって進める事柄が千差万別で、日本語の基礎以外に
セオリー的なことはほぼない、と思ってます。
だから、一般論が浅くなる。
しかし、編集するという行為には、ある一定線までは、
ベーシックな<思考、スキル、心>が必要だと思います。

ってな話も語り始めると際限なくなるので、
その中でもわかりやすい部分と見え方に絞り込んで、また、分類王らしく、
以下の<編集者が携えたい素養 レーダーチャート分析>
を軸に編集者がどう考えどう動きアウトプットにどうつなげていくかを
話してみることにしました。
雑誌編集者9年、書籍の執筆・プロデュース・編集を17年、合わせて26年。
高卒をぎりぎり卒業というおバカな僕でも、さすがに同じようなことこれだけやってると
なにかしらその道のことが少しはわかってきたような気がします。
なので、その体験からの肌身感覚でしか語れない範囲ですが少しは役立つかも…かも?

↓これが、僕が以前メモしていたものです。

<編集者が携えたい素養 レーダーチャート分析>

【発想力】
 ●思いつく ●企画に落とし込む ●構造を作る
【推進力】
 ●前に進める ●具体的に表す ●粘り腰 ●筋を通す
【調整力】
 ●バランスを取る ●和を保つ ●思いやり
【求心力】
 ●人に好かれる ●人望 ●ついていきたくなる雰囲気
【知 力】
 ●読む ●ディレクション ●直せる ●知識

ただしこれも、その編集者の部署、テリトリーなどで
少しずつ各要素の重要度が違ってくるのもおもしろいところ。
雑誌か書籍か。
雑誌なら「若者情報誌」「マンガ」「女性ファッション誌」「オピニオン誌」
「文芸誌」「男性週刊誌」「グラビア雑誌」「趣味専門誌」……
書籍なら、「文芸」「ノンフィクション」「ビジネス書」「カルチャー」
「学術書」「児童書」「タレント写真集」「アート関連書」……

講義では、さらにこの5つの要素ひとつずつをさらにレーダーチャート化することも
やってみようと思います。
ちなみに、これは分類王的余談ですが、
レーダーチャートは、比較という目的では5要素がベストと見いだしたので
要素がたくさんある時でも、僕は、レーダーチャートは必ず5つに絞りこみます。

受講生のみなさん、自分なら、この各要素、5段階でいくつつけますか?
あ、これ、考えてきてくださいね(笑)。
肩ひじ張らず、かつ、卑下しない、
冷静な自己分析もクリエーターの大事な素養ですから。

では、6/12にお会いしましょう。
講座後の呑みもぜひ! 好きなので(笑)。
僕、今度できる日本ビアジャーナリスト協会副会長なのですよん。

↓ 編集とはつまり分類也。

↓ タイトル作りに集約される編集センス。

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2010.5.12

超低予算「スローなブックCMプロジェクト」とは?

「たった8万円出せば、法外なお金がかかるテレビCMと同じ感覚を味わえる」
という誘惑的触れ込みでスタートするのが
「スローなブックCMプロジェクト」。
というか僕もスローながら1枚噛んでるんでスタートさせた、というべきですね。

スローなコメディ研究家、映像関係のプロデューサーで、本を愛する須田泰成さん←の
“しょんぼり気味の出版界を応援して、いい本、オモシロイ本がまだまだ出せるように”
という、これはスローではなくアツイ思いつきにて、
「スローコメディ広告社」←のスロー事業として相談を受けまして。
僕もスローオブザーバー兼スロープロモーター兼スロー監修者的に
スローにタッグを組んでいくことになりました。
僕も以前から、本が出来た時に、
動画で告知できたらいいなと思ったこと、何度もあったのですよ。

まず、須田さんと松尾貴史さんのスローな考え方はこれを。
<5分でわかるスローコメディ広告社>

で、スロー日和の5/2に、スローな下北沢のスローな飲み屋、
スロコメこと「スローコメディファクトリー」
にて行われた、ナレーションのスロー公開録音…飲み会。。。。
いやまじで録音中はしっかりやったんすよ。
ナレーションは、なななななんとゴージャスに、→松尾貴史さんです!
ちなみにスロコメの隣は、松尾さんのカレー屋さん、
「般若」(ぱんにゃ)
ここは、味はスローではなくガチホンモノです。

当日は、本は5冊分の録音だけでしたが、
「スローコメディ広告社」が制作する
中小企業や個人のお店などのも合わせて、全部で30本弱ぐらいあったかな。
本数は全然スローな数じゃないが(笑)、
松尾さんの即時対応能力はほんとに人間国宝級!
始まる前にさっとナレーション原稿に目を通した程度で、録音が始まったら、
一気にがんがん読み、随所にアドリブでアレンジ、ジャン・アレンジして、
クオリティの高いナレーションを終らせましたよ。
いやー、これ見れただけでも貴重な体験。

そして1週間ちょいででき上がった、スローなブックCM、見本第一弾の3本がこれ。
仕事はスローの正反対でクイックリーがウリ。
ちなみに僕の本です。。。。

『ダジャレ ヌーヴォー』(扶桑社)のスローブックCMは


『エア新書』(学研)のスローブックCMは

『犬がいたから』(集英社)のスローブックCM



ツイッター、UST時代に対応するには
ネットでさっと見られる動画があればRTなどでさっと広まりやすいもの。
しかし最初から宣伝費投入できる本なんてほんの一握りで、
初版何千部という単位では、印刷費や制作費を必死に絞り込んで
数万円捻出していくぐらいがいいところでしょう。
サイトの告知ページももちろん有効ですが
オモシロイ動画の威力やはりは強い。
それなら素人でも作れるのでは?と思うでしょうが、
構成、ナレーション原稿書き、ナレーション録音、画像撮影、
音声編集、画像編集、パッケージング、サイトアップまで考えると、
よほどエキスパートでないと手間ひまも含めてなかなかうまくできるものではありません。
このスローなブックCMなら、打合せたらあとは完パケを待つだけ、待つだけ子です。
なんといっても、ナレーションが松尾さんという話題性だけでもモト取れる?(笑)

アップされたら、あとはブログ、メール、サイトでの告知など使い方は広がります。
特に著者からすればずっと見てもらえるのですから、
自腹を切っても長い目でみればモトを取れると、著者としての自分がそう思います。
版元サイドであれば、8万円は印刷所にがんばってもらって(笑)捻出?
カバーの箔押しを断念?
あ、それは僕がデザイナーさんの敵になっちゃうのでウソです(笑)。
まあ、大化けする期待料として、8万円がんばっていただければ、と。
というわけで、版元のみなさん、社内調整がんばってください!
著者の方々、版元の方をじわじわ口説くか、
キビシければ気合いの自腹だこんにゃろめえ!
重版1回でさくっとモトとれます。
ゆくゆくは、松本幸スローや伊東スローなどの大物もキャスティングできればなと。
・・・・・

見本第二弾は以下の2冊で、追ってできるので追加でまたここにあげますね。

『図解でユカイ』(ゴマブックス)
『ベルギービール大全』(アートン)

余談ですが、以前、『バカには絶対解けないナゾナゾ』←を出した時、
飲み屋で松尾さんに差し上げたら、その場でさらさらと
最初の問題から6問連続で正解させました。
そんな人は他に一人も出会ってません。
地頭がいいというのはこういう人のことを言うのですね。
と、そこらを感じるためにこんなのを貼ってみたりして……。

ついでに松尾さんの好評近刊もご紹介


★★★「スローなブックCMプロジェクト」概要はこんな感じ。
「これは依頼したい!」という版元の方、著者、プロデューサー、などいらっしゃれば
スロコメ広告社の→<お問い合わせ>へ。
知り合いの方なら僕のとこでもお気軽にどうぞ。

【展開概要】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■1本=8万円〜、1分〜1分半のネット動画CMを完パケ制作
■打合せ&材料確認〜原稿&流れ確認〜録音&画像等制作〜YOUTUBEにUP 
■同じ版元、著者のものは、一ヶ所から同時発注なら割安に

【制作内容】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■ナレーション原稿は、帯コピーほか希望あれば最初に受け容れ
■ざっとしたポイントからでもOK
■原稿と大ざっぱな流れまで確認できたらあとはお任せいただく
アップしてからは、声や画像の直しは不可

【スタッフ】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■声の出演=松尾貴史
■制作=須田康成
■監修=石黒謙吾

【料金体系】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

版元1社から、制作会社1社から、もしくは、
著者、プロデューサーなど同じところで作ったもの複数を
同時に一括で発注の場合は、以下の料金を目安に制作。
(★ 同じ著者の本でも、別々の版元から依頼の場合は1冊の価格となります)
(★ 単価の8万円は、画像やイラストがすべていただけるケースで、
撮影、イラストなど他にクリエイティブ作業が発生する場合は要相談)

●1冊ー8万  (@8万円)
●2冊ー15万 (@7万5000円)
●3冊ー20万 (@6万6666円)

<以下、1冊増えるごとに5万円づつ加算>

●4冊ー25万 (@6万2500円)
●5冊ー30万 (@6万円)
●6冊ー35万 (@5万8333円)
●7冊ー40万 (@5万7142円)

<以下、1冊増えるごとに4万円、4万円、3万円と加算>

●8冊ー44万 (@5万5000円)
●9冊ー47万 (@5万2222円)
●10冊ー50万 (@5万円)

という感じで、中堅〜の版元ならば、<今月の新刊>とかを
まとめて発注というのはかなーりオトクですので
ぜひ、スローでなくクイックリーかつ積極的にご検討を(笑)。

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2010.4.28

海外版権ー海賊版&改造版 笑っていいとも?

上海のパクリ楽曲問題かまびすしいタイミングに合わせたかのように、
中国発渋谷着で笑っていいのか怒るべきかわかんない、
悩ましくもおいしいネタが届きました。

その同じ日の朝、ブラジルから1通のメールが。
以前、ブログで書いた←吉永拓哉さんからでした。
僕がプロデュース・編集した2冊の本の著者です。

(以下転載)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

石黒様
いつもお世話になっています。
アマゾン奥地の取材も無事に終わり、ドキュメンタリー撮影も終了し、
いまサンパウロ新聞本社に滞在しています。

先週末、ひさしぶりにサンパウロ市東洋人街(リベルダーデ)を歩いていたら、
なんと、露店のDVD屋で、石黒さんの『盲導犬クイールの一生』を発見しました。
露店なので、コピー商品ですが、
地球の裏側でもクイールを見ているブラジル人がいることを知ってとても驚きました。
露店で発見したクイールの画像を添付ファイルでお送りします。

5月6日の新宿ロフトのトークショーでお会いしましょう。

吉永拓哉

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この写真が添付されてました。

ブラジルのオネエサンは(オバサン?)
肉感的だなという風に視線は向くがそうではなくて真ん中下。
まごうことなき カ・イ・ゾ・ク・バ・ン♥です。
当事者になってみるとさすがにここまで来ると特に腹も立たないもんですね。
いやー、世界の人々は商魂宅間伸…いや、たくましいなあと感心すら湧くもんなあ。

となごんでいたら、集英社から電話。
担当のSさんの話の内容はというと
『犬がいたから』←の中国版、文章以外に連載時の写真も使いたいから
送ってくださいというので送っていたのに、
本が出来てきたら、写真は使用してないうえに水彩画の挿絵が入っていて
カバーもまるで別物になっていたのです。
エージャント通して遺憾の意と説明を中国の版元に求めたら
「担当者が一生懸命やっていたので」などなど返事の文面も届きはしましたが、
どう対応すべきか著者としての考えをお聞かせください>
ということでした。

そして翌日届いた本がコレ。

ぶははははっ!!!
たしかに全然別物中の別物。
元本(日本版)と台湾版はコレ。

中身は、
台湾版では、連載時に載せていた写真をうまく使いこんな感じの組み方ですが

届いた中国版にはこんな水彩画が入ってます。

見た瞬間は、オイオイ!というかトホホ〜というかゴラァ!!とか
ネガティブな感情が湧きましたね。
しかもこんな大胆なサイドチェンジが
版元にも著者にもなんの断りもなく進行していたという(笑)。
余談ですが、しかも送ってこないので出てるのしらなくて
偶然僕がネットで見つけて集英社からつついて、半年経ってやっと届いたんです。

版元の集英社としても
<とんでもないことなので、なんであれば、回収を要請しても…>
という見解でもあるようで、その主旨もわかります。
売上げ的にはなんでもない数でしょうが(笑)、
商道徳的に無茶苦茶なことの前例を放置していたら
また同じことがおこり他の著者さんも版元も迷惑するかもしれません。
しかし翌日にまた見てみて、この件に限っては、
まあもういいかなあ、という気にもなっています。
泣き寝入りっちゃあ泣き寝入りなんすけど、
回収云々より現地の状況、感覚に合わせた判断だろうから
(わかんないけどまあそう考えた方が心にいいような 笑)
のままでいいから、なるべく売ってくださいね♥
ぐらいのほうが誰も不幸にならないかなあと。
GW明けにでもそう返事しようかなという気分になってます。
つってもまあ中国のことですから
仮にちょいとでも売れたらあとはコピーの海賊版になるでしょうけど(笑)。

ちなみに『盲導犬クイールの一生』では
韓国版、台湾版、台湾子供版、中国版、ポルトガル語版、
が発行されて、台湾版、中国版はそれぞれたしか20万部とか売れました。

その話をするとよく言われるのは
「中国で正式に申告が20万部なら、実際はコピーで200万とか出てるんじゃないの」
というネタ(笑)で、あの国ならそうなのかもしれませんね、岡本真夜さん。

それから、本のカバーデザイン、装丁などは
必ず元の本に合わせて作らねばならないうという決まりはまったくありません。
あくまで、都度の希望に応じてどうするか、です。
お任せならお任せで構わないわけですね。

僕の場合、著書、編書でそこそこ海外で出たものありますが
めったに希望は出してませんし、出したものもあります。
以下参考に一部を並べてみましょう。

まず犬関連から3冊。
『パピーウォーカー』台湾版。

これは、特になんの希望もだしませんでしたが、ほぼ、そのまんま。

『盲導犬ジョナと登った3000m』中国版 
そういえばこの本もなかなか送ってこなかったなあ(笑)中国!!!

これも希望ナシでそのまま。

『犬と歩いて 〜盲導犬ユーザーの詩』台湾版

これまた放置でしたがママで。

『ガンを治す108の方法』韓国版

これは特に希望出してなく、来たら全然違ってたので、へえーって感じでした。
キムチがガンに効くような気がしたのだろうか?…

続いて、プロデュース・編集した本から3冊。
『やさぐれぱんだ』韓国版

これは希望ナシでままですが、面白かったのは中身。
どうみても和田アキ子にしか見えない絵があるのですが
その人が、チェ・ホンマンに変わってた!!!

『ナガオカケンメイの考え』韓国版

これは、ナガちゃんの希望もあって、寄藤文平さんのデザインを生かしてとオーダー。
たぶんがんばってハングルのフォントを合わせたんだろうなあ、ってのが微笑ましい。

『ナガオカケンメイのやりかた』韓国版

これも上に同じですが、寄藤さんがツイッターで、
「数字のフォントが微妙に違うなあ」とつぶやいてたのがおかしかった。

とまあいろいろあるわけですが
著者側→版元→エージェント→海外の版元→クリエーター
と話が流れるので、もはや遠くでのできごとのよう。
なのでむしろ意図が正確に伝わっていくことが至難の業ぐらいに思っていた
ほうがいいのかも。
特に、中国の場合、知らせがあったり本が送られてきたことを感謝せねば!
って、わたしだまされやすいのかしら?

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2010.3.15

書店周りに思う。数字は虚像、顔と声は実像

2009年1月のメルマガあいさつ文から。
青臭いことだけど思うがままに。

・・・・・・・・・・・

先週、初めて経験した、きっちりとした“書店周り”。
朝10時から夕方5時まで、13軒の書店に顔を出して
新刊をプッシュ大統領するためのあいさつを。
以前からやりたくて版元の方にちょいと話したりしてましたが
気を使っていただくのか一度も実現に至りませんでした。
そして今回、『エア新書』刊行にあたり、氣合が入っていたことと、
この中味は、書店員さんに伝われば必ずオモロさがわかってもらえるはずと、
学研の編集担当・藤林さんに話してみたら、「やろうやろう!」と盛り上がり寿。
さすが、勢いの良さ、サバサバ感、濃いエネルギーの3拍子揃った!?
元『東京ストリートニュース』編集長。
ちなみに共に永ちゃんフリークだぜOK!
営業の方は来れなかったので、47歳と50歳のオッサン2人で、
朝10時に丸の内丸善をスタートし、秋葉原2軒、神保町3軒、
池袋2軒、新宿3軒、恵比寿1軒、川崎1軒まで、
♪止らない〜ha ha~っとタオルを投げながら回りましたよ。
 
で、いいもんですねー。実際に売っていただく書店員さんの顔を見て話し、
しかもその場で気に入ってもらえれば、もう感激じゅわーんですよ。
見本だからまだ世に出てないので、
パンの職人さんが焼き立てのパンを店先に並べる前に店の人に出して
うめえと言われる感じ。想像だけど。
 
特にうれしい反応の方が3人。
まずは紀伊国屋-新宿本店2階新書担当のHさん。
手に取った瞬間に、「これ、ツボです〜〜〜!」
と言って興奮状態というなんとも著者冥利につきる反応でいたく感激しました。
続いて、ジュンク堂-池袋本店3階新書担当のKさん!
かなり突っ込んだお話もできて、さすが勉強されてるな〜と頭が下がりました。
有隣堂-秋葉原のIさん!
かなりお好きの方向のようで、その場で注文とはなんともうれしいもの。
お名前はあげきれないのですが
他の書店員のみなさまも、売り場のお忙しい業務の中
ていねいにご対応いただきまして、ありがたいな、と沁みました。
 
8年前の春。
初版6000部スタートで当初、そのまま終る可能性大と
秘かに自分で確信していた(笑)
『盲導犬クイールの一生』が、
書店員さんの反応から、クチコミでゆっくりゆっくり火がつき、
3年がかりで87万部という夢のような結果につながりました。
刊行からずいぶん経ってぼちぼちと売れ始めた頃、
担当の方に見せていただいた文藝春秋の社内報に載っていた、
最初に力を入れて売ってくれた書店員3人の方のコメント。
それを見て、兵庫、立川、浜松町の書店3軒に
お礼の電話をしたことがありました。
その時の、書店員さんの涙声は忘れられません。
僕も胸が詰まって話せなくなりました。
 
本の売り上げは数字でわかります。
重版がかかればしばらくして口座にお金が入ります。
でもこれ自体は、結局、数字という“虚像”であり、
じわっと自分自身の心に響いてくる
“実像”には感じられないのです。
(だからお金ないんだっての >要自省)
読んでくれた人から、
面と向かって面白いとかよかったとか言っていただけることほど、
本を作った喜びを感じられることはありません。

そして、いかに多くの人に支えられながら
好きな本作らせてもらっているかを噛みしめつつ
これからも、少数の人に対してでいいから
その人のツボに深く入っていけるものを残していきたいと、
年頭の書店周りが再確認させてくれました。
自分に関わる人すべてに感謝の気持ちを忘れないようにしなければ。
 
本を作らせていただいてありがとうございます。

どうして? 犬を愛するすべての人へ

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石黒 謙吾

著述家・分類王
1961年 金沢市生まれ。
今では書籍の執筆がほとんどですが、プロデュース&編集も少しやってます。
やや長めのプロフィール
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興味ワードを手当たり次第ランダムに。う〜〜〜ん、ランダム(念/マンダム)

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